スポーツ科学マスターが教える!筋肉とカロリー消費について

ダイエット

化学的エネルギーの機械的仕事の変換 

こんにちは、ヘルサポの嶋田です。

今回は筋肉のエネルギー消費についてのお話です。簡単は話、筋肉はどのようにカロリーを消費していかというこですね!

 骨格筋の収縮と弛緩におけるエネルギー変換量 

  筋肉は収縮と弛緩を行う際にエネルギーを消費しています。力を入れる時もぬくときもカロリーを消費するということですね。しかし筋肉は何もしていない状態(休んでいる状態)ではそれほどエネルギーを消費していません。

安静時と活動時の違い

 筋肉(骨格筋)は安静時、他の組織や臓器に比べて代謝率(エネルギー消費率)は低いといわれています。 

実際に筋肉の安静代謝時酸素消費量(Vo₂)は、1.5~2.0mlO₂/min/Kgといわれています。 しかし身体活動(筋活動)によって筋肉のVo₂は、150mlO₂/min/Kgになるとい考えられています(安静時の100倍を超える計算になります。)。

酸素消費量が多いということは、それだけ酸素を使って多くのエネルギーを作り出し消費しているということになります。 

 筋肉(骨格筋)は筋活動によってはじめて大量のエネルギー(カロリー)を消費するのですね。 

POINT

 運動をしてダイエットを行う場合、筋トレなどで筋肉を大きく(筋肥大)して基礎代謝を上げることも有用ではあるのですが、効率的に運動で痩せるためにはベンチプレスや腕立てのように一部の筋肉だけを使うトレーニングよりも体全体を万遍なく使うことが重要です。筋肉は動かすことによって大きくカロリーを消費するので、全身の筋肉を使った方が明らかに消費カロリーが高いのです。 

 具体的にはランニングやエアロビクス、ボクシングエクササイズのような全身を使うトレーニングが効率的にエネルギーを消費できます。さらにEMSスーツなどで全身の筋肉に刺激を与えながら全身エクササイズを行うトレーニングは最も効率的と言えます。

栄養素とエネルギー消費

 人間は脳からの信号を受けてから筋肉が動くまで、約0.3秒〜0.4秒程度という速度で動きます。 

 筋肉を速やかに動かすために必要なことは即座にエネルギーを筋肉内で放出することです!

 そのために重要なのが無酸素運動と言われる運動方式です(嫌気的運動)。無酸素運動の最大の利点は筋肉が動くために必要なエネルギーを即座に作れることです。
 専門的にいうと『筋肉は運動時、速やかに骨格筋細胞へエネルギーを供給するために嫌気的(無酸素的)にクレアチンリン酸(PCr)やグルコースを利用してATPからエネルギーの放出を行う。』

 しかし、この嫌気的(無酸素的)なエネルギー生成は非効率的でかつ、クレアチンリン酸やグルコースの体内貯蔵量は少ないため数秒〜数分間しか運を行えません。
 ※クレアチンリン酸とは肝臓で生成される筋肉のエネルギー源

 そこで運動を開始してある程度時間が経過すると体内で酸素(好気的)を利用してグルコース、脂肪酸(脂質)、ケトン体などから多量のエネルギー(ATP)を生成して活動できるようにしています。    
 ※好気的エネルギー産生は主にⅠ型筋線維のミトコンドリア内で行われる。その際に多量の糖質と脂質が利用される。  

ここでわかることは、脂肪の燃焼(酸化)は好気的条件(有酸素)でなければ実行されないということです!

 基本的に脂肪を燃焼したい場合は有酸素運動を行うことが必要です。

 好気的条件でのエネルギー生成、俗に言う有酸素運動の主なエネルギー源が脂質(約50~60%※運動時間が長時間に及ぶと80%を超える)【※低強度程度の運動の場合】である。しかし、好気的条件でエネルギー生成を行う上で主役となるミトコンドリアはⅠ型筋に最も多く含まれている。したがって、除脂肪を目的とした運動をする場合は、Ⅰ型筋線維が多く存在する部位(姿勢保持機や呼吸筋)に対してトレーニングを行うと除脂肪効果が高まる可能性があります! ※Ⅰ型筋繊維とは遅筋や赤筋と呼ばれる持久力に優れた筋のことです。

       

運動とエネルギー供給機構 

有酸素運動(好気的)と無酸素運動(嫌気的)のエネルギー生成方法と運動様式

ここで少し専門的なお話、体内でエネルギーを作り出す方法をご紹介いたします。

実際に人体内では無酸素的、有酸素的にエネルギーを作り出す方法が確立されています。 

Ⅰ:ATP-PCr系(嫌気的) 

100m走、25m泳、ウエイトリフティング等の極めて短期間で大きなパワーを必要とする運動でのエネルギー供給 

※体内で即座に大きなエネルギーを必要とする場合 

体内(骨格筋内)に蓄えているATPおよびクレアチンリン酸(PCr)(※これらをホスファゲンという)から即座に莫大なエネルギーを得られる。 
※クレアチンリン酸とは肝臓で生成される筋肉のエネルギー源

しかし、最大運動で直ちに枯渇してしまう。実際には数秒(6~8秒程度)。 

Ⅱ:解糖系(嫌気的) 

酸素供給や酸素利用ができない状況下や400m走、100m泳、サッカーなどのスプリントの繰り返し競技などの場合、ATP-PCr系では運動に必要なエネルギーを全て供給すること困難である(数秒間しか持続できないため)。この場合、体内に蓄えているグリコーゲン糖質から無酸素状態で素早くエネルギーを供給することができる。これを解糖系とよんでいる。これにより数十秒(最大運動で33秒程度)の運動が可能となる。 

Ⅲ:有酸素系(好気的) 

高強度運動が持続不可能な長時間運動においては酸素を利用したエネルギー供給機構が働く。この場合、糖質、脂質、タンパク質(主に糖質と脂質)を利用してエネルギーが持続的に長時間供給される。酸素を利用したエネルギー供給は体内(主に骨格筋)が十分に酸素を利用できる状態である必要がある。この有酸素系は極めて長時間にわたりエネルギーを供給し続けることができるが、デメリットも存在する。 

①有酸素系が十分に機能するまでに少なくとも数分間の時間が必要なため、素早いエネルギー供給ができないこと。 

②脂質を利用してエネルギーを供給する場合、糖質に比べて脂肪は分解速度が遅いため高出力(高強度運動)を発揮できない。 

③運動強度(高強度運動)が上がってくると有酸素系は十分に機能し難くなる(酸素供給量が間に合わなくなるなどの理由)。 

                           

ダイエットについて

ダイエット等で脂肪の分解を目的したトレーニングを実施する場合は低強度の運動を長時間実施(1時間以上の運動)することが望ましいです。これは、脂質はもともと低強度でのエネルギー供給に向いていると考えられることと、グリコーゲン(糖質)の方が体内での貯蔵量が少ないため、運動の後半(長時間運動時)にはグリコーゲンが枯渇し運動に必要なエネルギー源の50〜80%は脂質を利用するためです。 

骨格筋のエネルギー(ATP)供給と長時間運動

 例えば。。。。

 何らかの理由で骨格筋細胞への酸素供給が十分でなくなれば骨格筋は嫌気的にエネルギー産生を行うしか方法がなくなります《運動開始直後や運動強度が増したとき。あるいは低酸素環境時など》。 

※嫌気的状況下では主にクレアチンリン酸、グルコースやグリコーゲン(ともに糖質)がエネルギー生成に利用されることになります。 

 この状況下では時間が経過(数秒~数十秒)すると乳酸生成等により筋細胞内のpHが低下(乳酸アシドーシス)し筋力の発生が妨げられてしまいます。 
 ※安静時の筋細胞のpHは約7.1といわれています。しかし疲労を感じる程度の運動を行うと6.4にまでpHが低下してしまいます。これでは、筋細胞の活動が妨げられてしまいますね。。。《pH=酸塩基平衡》 

 しかし

 好気的条件下(酸素が十分に利用可能な状態)であれば長時間の運動が可能になるのです。

 実際にウルトラマラソンなどでは100㎞のコース距離があるものもあるが、ウルトラマラソンのトップ選手は約6時間前半でゴールするそうです。

 特に人間はこの好気的条件下での運動能力が優れています。酸素と脂質を上手に利用して長時間運動能力に優れているのがホモ・サピエンス(人間)特徴ですね。

 好気的条件下でのエネルギー源について 

 体重が70㎏で体脂肪率20%の方の場合、約105280kcalが全身の脂肪組織に、約6400kcalが筋組織内の脂肪組織にエネルギー源(脂質)として蓄えられています。(注:脂肪成分の2割は水または細胞成分として計算)

 また筋組織はグリコーゲン(糖質)を300~400g(約1200~1600kcal分)、肝臓でもグリコーゲンを75~100g(約300~400kcal分)エネルギー源(糖質)として蓄えています。

 生体はこれらの貯蔵エネルギーを各器官に供給し各臓器や骨格筋が活動しています。 

 好気的条件下(十分なO₂存在下)では、筋組織が運動開始直後、筋組織内に蓄えたATPとクレアチンリン酸をエネルギー源として活用(同時にグリコーゲンも使用)するが、中等度強度の運動を継続した場合では運動開始から数分後、血中のグルコースをエネルギー源に利用し始めます。 

 1時間を超えるような長時間の運動になると、筋活動に利用されるエネルギー源の40%~50%は貯蔵されたグリコーゲンおよびグルコースで残りが脂肪酸(脂質)となるのです。 

 さらに長い長時間運動ではエネルギー源の50~80%以上は脂肪酸(脂質)が利用されます。【※運動強度により割合は変化する】 

 効率的に脂肪を燃焼するためには運動強度と運動時間が重要!!!!

 運動強度が低負荷の運動を1時間以上行うことが効率の良い脂肪燃焼運動と考えられます!!

 ※比較的強度強い運動(Vo₂MAX65%以上)では、O₂運搬能力の低下等により遅くとも数十分で筋は疲労してしまう。トレーニングを積んだアスリートであれば運動強度次第で数時間の運動を持続できることもある。 
 グリコーゲンの貯蔵量は脂肪に比べて相対的に少ないので、肝臓で行われる糖新生が重要となる(※Cori回路)。また運動中は貯蔵されたグリコーゲン利用により体内グリコーゲンの絶対量が低下してくるため、運動時間が長くなればなるほど、グリコーゲン不足により仕事率(パフォーマンス能力)は下がると考えられる。これによるパフォーマンス低下を少しでも抑えるためにカーボローディングを行うアスリートも多い。実際、カーボローディングにより、マラソンなどで疲労が出始める時間を遅らせることができるといわれている。 
 ※Cori回路とは筋組織と肝臓との間で行われる反応。嫌気的エネルギー生成においては筋組織内で発生した乳酸を肝臓において糖新生によってグルコースに変換し、再び筋組織でのエネルギー生成に利用すること。 
 ※カーボローディング(Carbohydrate Loading)とは、スポーツなどの場面で、運動エネルギーとなるグリコーゲンを通常より多く体に貯蔵するための運動量の調節および栄養摂取法である。グリコーゲン・ローディングとも呼ばれる。具体的には試合まえに練習量を下げて高糖質食に切り替えて体内のグリコーゲン量を増やすこと。 

 骨格筋組織は長時間運動時に約5~6(脂質):4~5(糖質)(※運動時間により割合はさらに変化する)の割合で効率よく運動エネルギーを生成していると考えられます。
 

 脂肪を効率よく燃焼させるためには糖質が必要です。

 運動をしながらのダイエットの場合、最近流行りの低炭水化物ダイエット(ケトジェニックダイエットなど)は脂肪燃焼に向いておりません。

 糖質と脂質の割合を考えて、運動前に糖質を摂取し、効率よく脂肪を燃焼させることが重要!!
ただし炭水化物の過剰摂取には十分注意してください。 

脂質1g=9.4kcal 炭水化物1g=4.1kcal タンパク質1g=5.7kcal 

最後に

ヘルスプロモーションサポート(ヘルサポ)では、今回お話したような内容などスポーツトレーナーに必要な知識技術をヘルサポスクールで教えております。その他「ハンモック整体」や「下腹ぺたんこ」のスクール、講習会も行っおりますので興味がある方はヘルサポまでご連絡ください。

  現在、接骨院や整体院、エステサロンなどを経営していて今後、パーソナルトレーニングを取り入れたい、または新しいメソッドを導入したい方はぜひ、ヘルサポをご利用ください!!

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